つり荷が落下して玉掛け者が下敷き
原因
小さいフックに、ベルトスリングのアイを4本掛けたこと。 つり荷の下に「立入禁止措置」をしなかったこと。 つり荷の「つり角度は20度程度」と狭かったこと。
巻き上げのとき、玉掛け者はつり荷の近くにいたこと。 クレーン操作者は、フックへのアイ掛けの安全な状態を確認せず、かつ、「地切りをせず」に巻き上げを行ったこと。
玉掛け作業は協力会社だけが安全管理を実施していたこと。 作業開始前にKY活動を実施していなかったこと。 当事業場に「玉掛けの作業手順書」は作成していなかったこと。
対策
5tラフターのフックは口が狭いため、「外れ止め装置が堅固な絶縁フック」を使用し、かつ、ベルトスリングは「2本2点目通しつり」すること。 つり荷の下は立入禁止措置を講ずること。 つり荷の「つり角度は60度程度」とし、介添えロープを使用して誘導すること。
フックを巻き上げ、一旦停止して地切りをするとき、玉掛け者はつり荷から安全な位置に退避すること。 クレーン操作者は、フックの巻き上げ前にフックへの「アイ掛け状態の安全確認」を行うこと。
リスクの高い作業は協力会社のみの安全管理にたよらず、元請け事業者が事前にリスクアセスメントを実施し、RAの残留リスクはKY活動に活用させること。 「作業開始前にKY活動」は必ず行うこと。 複数のつり荷の「玉掛けの作業手順書」を作成し、関係労働者に周知すること。
エレベーター搬器天井上で搬器固定作業中に落とした工具が昇降路底部ピットにいた作業者に激突する
原因
上下作業において、上方の作業者の手工具等が落下することにより、下方の作業者に危険を及ぼすおそれがあったにもかかわらず手工具や機械部品等の落下防止措置を講じていなかったこと。
上下で作業を行う作業者双方ともヘルメットを着用しないで作業を行っていたこと。
元方事業者が工事現場において下請け作業者に対して何らの安全教育を行うことなく、かつ、労働安全衛生法の規定に違反しないよう適切な指導をしていなかったこと。
対策
上方の作業者の手工具入れの腰袋はふたの付いているものを使用するなど落下防止措置を講じるとともに、上方の作業場所には、ネットを張るなど、手工具や機械部品等の落下を防止する措置を講じること。
上下作業においては、作業者はヘルメットを着用するなど適切な防護措置を講じること。
元方事業者は巡視を中心とした現場教育を実施し、下請け事業者が労働安全衛生法の規定に違反しないよう適切に指導すること。
つり荷が落下し、作業者の脚に激突
原因
小形状のフックに、アイ幅25mmの繊維スリングを2つ玉掛けしたこと。 つり荷の玉掛場所と、つり荷の移動通路が狭かったこと。
狭い通路(通路幅2m程度)の場所で地切りを行ったこと。 狭い通路で、つり荷を直接触りながら誘導していたこと。 作業開始前にKY活動を実施しなかったこと。
クレーン則の「適用の除外」のテルハだったため、RAを実施しなかったこと。 テルハ作業は物流協力会社が主として実施していたため作業手順書を作成していなかったこと。
対策
テルハのフックは小形状であったため、つりチェーンをマスターリンクで束ねた状態で「つりビーム」を使用すること。 または電気トロリは「2点水平つり形」を使用して、つり荷は繊維スリングで目通しして、つりビーム・2点水平つり形トロリのフックに掛けること。 つり荷の玉掛けは、地切り作業があるため広い場所で行うこと。
つり荷の誘導は介添えロープを使用し、操作者は介添え棒(グラスファイバー等)で行うこと。 (原則として「つり荷に直接手で触って誘導は禁止」とする) 作業開始前にKY活動を必ず実施し、最後に「作業者の健康確認と服装確認」を行うこと。
適用除外のテルハでも、RAを実施すること。 テルハ作業は、物流協力会社のみに安全管理を行わせるだけではなく、親会社も作業手順書を作成の作成に加わるとともに、関係労働者に周知すること。
ビームのつり鋼棒が破損し、作業者にビーム先端が激突 ビームのストッパーが破損し、トロリが落下し作業者に激突
原因
30年前に自社製作した0.49t型Crで「適用の除外(クレーン則第2条)」だったため、設置以来一度も自主検査を実施していなかったこと。
鋼棒のつり角度は20度で、ジブの鋼棒両端とビームのストッパーの溶接部は経年劣化していたこと。
作業者は介添えロープを使用せず、ビームの作業半径内にいたこと。 班長・作業員も全員、当該Crが「適用の除外」であることを知っており、壁Crにも危険性があることを認識していなかったこと。 壁Crの操作と玉掛作業の基本知識(特に「つり荷の下の立入禁止!」を軽視していたこと。 作業開始前にKY活動を実施しなかったこと。
壁Crのリスクアセスメントを実施していなかったこと。 適用除外のCrであったため、主としてこのCrを使用する協力会社に安全管理を行わせ、作業手順書を作成していなかったこと。
対策
危険性が想定される機械であるため、「適用の除外」のCrでも、自主検査を行うこと。
つり荷のつり角度は60度程度、又はつりビームとし、溶接個所も経年劣化するため打音検査を行い、「ビームの接続部とspはボルト止めと溶接」の二重の安全措置を図ること。
つり荷には介添えロープを使用し、ビームの作業半径外で誘導すること。Cr操作者も同様に原則として「ビーム半径内作業は禁止!」すること。 職長・作業員も全員、Cr作業の危険性を認識するため、事業者が行う特別教育を受講させること。 作業開始前にKY活動を実施すること。
壁CrのRAを実施しKY活動に活用させること。 適用除外のCrでも、作業を主として行う協力会社のみに安全管理を行わせるだけではなく、親会社が中心となり「作業手順書を作成」させること。
荷受け作業者Fにつり荷が激突
原因
つり荷を「急横行させながら急降下」させたこと。 基礎コンクリートの横に、退避場所がなかったこと。
作業責任者Aはウインチ操作者Bと基礎コンクリート上作業者2人が直接見える場所で監視していなかったこと。 林道上の玉掛け者Cは、つり荷に介添えロープを付けていなかったこと。 Fはつり荷の真下で、つり荷を背にして片づけを行っていたこと。 EはFがつり荷の真下にいる事を確認しなかったこと。
小型のケーブルクレーン作業であるため、元請が安全管理を全て協力会社のみで行わせ、作業手順書も作成していなかったこと。 RAは実施していなかったこと。 作業開始前にKY活動を実施していなかったこと。
対策
つり荷を前後に大揺れした場合は「急速横行・急速下降は禁止する」こと。 基礎コンクリート横の安全な場所に待機小屋等(休憩所・倉庫兼用)(緊結式足場でも良い)を設けること。
作業責任者は、ウインチ操作者と基礎コンクリート上作業者2人が直接確認できる場所で監視を行うこと。 つり荷の介添えロープは、介添えができる十分な長さのロープを使用すること。 つり荷の移動・下降中「つり荷の真下への立入りは厳禁」とすること。 基礎コンクリート上の無線機操作者は同僚等の退避を確認すること。 なおケーブルクレーンの作業者は、作業者を確認できる「安全ベスト(高輝度反射シート)の着用」をさせること。
元請と協力会社共同で、「ケーブルクレーンの作業手順書」を作成すること。 小型ケーブルクレーン作業でも「RAを実施」すること。 RAの残留リスクをKY活動に活用すること。
コンクリートバケット落下災害の発生
原因
キャリヤーのフックの外れ止めが破損した状態でコンクリート打設を継続していたこと。 バケットをフックに直接掛けていたので、振動の繰り返しで外れ止めが破損し、バケットがフックから外れたこと。
合図者Cは外れ止めが破損したことを知りながら、バケットのつり上げ合図をしたこと。 作業者E・Fは主索の真下近傍で待機していたこと。 合図者Cはバケットに介添えロープを使用せずに作業を行っていたこと。
中型のケーブルクレーン作業であったため、実際に作業を行う協力会社が主体となり工事を実施していたためで作業手順書はなかったこと。 RAは実施せず、作業開始前にKY活動を行っていなかったこと。
対策
フックに割ピン付き超強力シャックルと、外れ止め装置が堅固な絶縁フックを取り付けてバケットを掛けること。
作業責任者・合図者Cは作業開始前に必ず外れ止め装置の点検を行うこと。 砂防ダム上の作業者は、バケットのつり降ろし・つり揚げでは、主索の真下を避けた安全な場所に待機すること。 必要に応じて、適正な長さの介添えロープを使用すること。
元請と協力会社は作業計画段階に共同で「ケーブルクレーンの作業手順書」を作成すること。 ケーブルクレーン作業は必ずRAを実施すること。 RAの残留リスクをKY活動に活用すること。
貨物船の船倉での墜落災害
原因
縄はしごは下部を固定できないため、揺れている状態であったこと。 安全ブロックを設置していなかったこと。
Tショベル等の運転者は保護帽は着用しているが、フルハーネス型安全帯を着用していなかったこと。
船倉内作業の作業手順書は作成していなかったこと。 事業場などは事前にRAはせず、協力会社のみの安全対策で対応していたこと。
対策
縄はしごは下部に軽い重りをつけ、振り止めとすること。 安全ブロックを設置すること。
Tショベル等の運転者に対してフルハーネス型を着用させること。
事業場と協力会社共同で船倉内作業の作業手順書を作成すること。 事業場等は事前にRAを実施し、作業開始前のKY活動で残留リスクを明確にし、順々に残留リスクを減らしていくこと。
アンローダ点検作業時の墜落災害
原因
幅60cmの点検通路の側面に固定はしごを設置していたこと。 また固定はしご背面に防護柵の嵩上げがなく、踏さんは直径12mm程度の鋼棒で滑り易かったこと。
職長は保護帽は着用していたが、墜落制止用器具等は着用していなかったこと。
作業開始前に「KY活動と健康・服装確認」をしていなかったこと。 また機体点検の作業手順書は20年前のものであり、現状では有効ではなかったこと。 更には事業場と協力会社は事前にリスクアセスメントを実施していなかったこと。
対策
点検通路の手すり高は110cm程度とし、固定はしごの背面は100cm程度防護柵を嵩上げし、 手すり下部は高さ20cmの幅木(墜落・物の落下防止)を設置すること。 できるだけ固定はしごの背面は踊場とし通路幅100cm程度確保すること。 固定はしごの踏さんは、鋼棒に滑り止めのある踏面を点付け溶接したものであること。
機体の点検作業者は全員ヘッドランプ付き保護帽とフルハーネス型安全帯を常時着用すること。
作業開始前に「KY活動と健康・服装確認」を行うこと。 Cr業務の作業手順書は作業の実態にあうように定期的に見直すこと。 事業場と協力会社はメーカーの協力を得てRAを行い、残留リスクをKY活動で活用すること。
アンローダが逸走し倉庫に激突
原因
日常の作業終了時と同様の仮停車状態であり、ブレーキ装置のみ作動し、逸走防止装置(レールアンカー)は使用しなかったこと。 またアンローダ上部に風速計がなかったこと。
職長は天気予報の強雨風注意報の内容を軽んじており、結果風が強くなりだしたため、歩行困難となり点検に行けなかったこと。
事業場と協力会社はアンローダのリスクアセスメントは行わず、協力会社のみの安全対策が行われていたこと。 強風時対策の作業手順書は30年前のものであり、対策は協力会社が専ら行っていたこと。
対策
午後から強風が想定される場合は、アンローダは近くの停車場に移動させ、レールアンカーでレールと固定すると同時に、 レールの浮き止め用のH形鋼上部の穴にピン止めを行い逸走防止措置を行うこと。 またアンローダの上部に風速計を設置し、運転室と休憩所で風速の検知可能とすること。
アンローダの作業者は全員天気予報の強風注意報の内容等を中止させ、風速計で風速15m/s以上になった場合 「強風・暴風時の停止対策」の措置を講ずること。
事業場・元請・協力会社は「アンローダのRA」を行い、残留リスクはKY活動で活用すること。 また最低5年毎に「強風時対策の作業手順書」の見直しを行い、定期的に関係労働者に再教育を行うこと。
テルハでつったフレコンバッグの底紐を開放作業中、バッグが落下し頚部を挟まれる
原因
不適切な玉掛け用具(損傷したVベルト)を使用したこと。
つり荷の下に頭部を入れて作業を行ったこと。
定格荷重を超えるフレコンバッグを吊り上げてクレーン作業を行ったこと。
無資格でテルハの運転及び玉掛け作業に従事していたこと。
対策
適切な強度を有する玉掛け用具を使用すること。
作業者がつり荷の下に立ち入る必要のない作業方法に改善すること。
クレーンの定格荷重、つり荷の質量を確認し、クレーンの能力を超えたつり荷作業を行わないこと。
資格を要する作業については有資格者を従事させること。
震度5弱の地震発生後に作業再開時、小型天井クレーンが落下し操作者が下敷き
原因
小型天井クレーンのつりボルトはCアンカーは引抜き方向だったため脆弱な状態であったこと。 また、小型天井クレーン上部のCアンカー根入れ部のコンクリートは地震により崩壊状態だったこと。
700kgのつり荷2つをつった状態で、作業員がつり荷の近くに居り、 職長は震度4以上の地震だったにも係わらず、小型天井クレーン上部の点検など安全な状態であることを確認しなかったこと。
定格荷重250kgはクレーン則に該当していなかったが、定格荷重1tにするとき、事業所の設備担当者は引抜き方向に弱いCアンカーとの認識はなかったこと。 また、Cアンカーは創業以来点検をしたことがなく、「中震度以上の震度の地震」が発生しても、つりボルトの支点は点検を実施していなかったこと。
対策
梁の場合、U型の鋼材を梁に抱き合わせて、アンカーボルトを両側に2本ずつ取り付け、サスペンションはレールの真上にV型取り付け、 梁がない場合、I型鋼を井形状に枠組みして、サスペンションは前記と同様にV型取り付けて小型天井クレーンを設置すること。 またアンカーボルト取付け場所のコンクリート劣化状況を定期的に確認すること。
震度4以上の地震発生時」はつり荷は床面に下ろして安全な場所に退避させ、 職長は余震がおさまった後小型天井クレーンの上部などの安全確認を行うこと。
クレーン・点検通路などは「Cアンカーを引抜き方向使用は禁止」として前述の対応を行うこと。 「震度4以上の地震」発生後は、空荷の状態でクレーンの点検を行うこと。
ガーダー上を移動中ガーダー間から墜落と、ランウェイから墜落
原因
ガーダー間にスライド式安全ネットが未設置であり、点検作業中にクラブ外周に落下防止のメッシュシートを設置せず、 ガーダー上とランウェイ上に安全帯のフックを掛ける水平親綱ワイヤー等がなかったこと。 また、現場は照度が70Lx程度と薄暗かったこと。
被災者はガーダー上を「両手で工具袋等を抱えながら」移動し、 保護帽にヘッドランプは未装着であり、胴ベルト型安全帯を着用していたこと。 職長はガーダー上の移動に際し、「両手で工具袋等を抱え移動」を黙認していたこと。
クレーン点検会社の作業手順書は30年前のもので、法改正があっても一度も見直しもせず、事業場も作業手順書に書かれた内容が有効であるか、法に適合したものになっているかを把握していなかったこと。 クレーン点検会社は、天井クレーン点検のリスクアセスメントは実施せず、作業開始前のKY活動だけ行っていたが、対面唱和で「服装確認・健康確認」を行わなかったこと。
対策
ガーダー間にスライド式安全ネットを設置し、点検作業中はクラブ外周に落下防止のメッシュシートを設置し、 両側のガーダー上は、手すりの内側及びランウェイの壁面に水平親綱ワイヤーを設置すること。 また、照明は天井の水銀灯で照らし、ガーダー上の照度は200Lx程度を確保すること。
点検作業者は、ガーダー上の移動時には小荷物・工具等は背負子・リュックに収納し「ハンズフリー」で歩行し、 全員、保護帽にヘッドランプを装着し、フルハーネス型安全帯を着用するとともに、常時使用すること。 職長はガーダー上の移動で「両手で工具袋等を抱え移動」等の危険行動を直ちにやめさせること。
クレーン点検会社は「天井クレーンの作業手順書」を法に適合しかつ実態にあったものに全面見直しを行うこと。 クレーン点検会社は、事前に「天井クレーン点検のリスクアセスメント」を行い、残留リスクを日々のKY活動に活かし、KY活動だけでなく、対面唱和で「服装確認・健康確認」を行うこと。