巻上機のワイヤー交換作業中に焼却炉内に墜落
原因
巻上機はホッパーの真上だったこと。 ホッパーは開口部状態だったこと。 照度は50lx程度だったこと。 墜落制止用器具(以下「安全帯」という)等を取り付ける設備はなかったこと。
作業者Aは、移動はしごを巻上機に直接立て掛けたこと。 作業者は安全帯を着用しないで、単独作業だったこと。 職長は危険な作業方法とは考えず、作業開始状況を確認しないで、事務所で雑談をしていたこと。
コンベヤーの「交換作業は協力会社任せ(作業管理・安全管理を協力会社に行わせていた)」だったこと。 事業場に作業手順書はなく、かつ、全使用機械のRAは実施せず不安全な経験則だけだったこと。 作業開始前にKY活動を実施しなかったこと。
対策
巻上機の保守作業は、レールの端部等の安全な場所で、逸走防止を行うこと。 スポット照明等で照度は200lx程度を確保すること。 安全帯等を取り付ける設備を整えること。
作業者は、安定性の良い作業台を使用すること。 作業者は「ヘッドランプ付き保護帽とハーネスを着用し使用」すること。 危険な作業方法は、職長が作業開始前に具体的な作業方法を教え確認を行うこと。
テルハを使用する作業は、「協力会社のみに施工管理・安全管理を実施」させず、職長は作業内容の確認を行うこと。 テルハ作業の「作業手順書を作成」し、RAも実施し周知徹底を図ること。 作業開始前に、KY活動を実施すること。
交換するコンベヤーの運搬で、玉掛け者がはさまれる
原因
長さ7mのコンベヤーを、つり角度120度の日通し2本つりで玉掛けをしたこと。 コンベヤーに介添えロープを取り付けなかったこと。
Bはコンベヤーを背にして、左手でつり荷を触りながら「馬引き」誘導したこと。 AはBが直視できない反対側でつり荷を右手で触ってテルハを操作していたこと。
コンベヤーの「交換作業は協力会社任せ(作業管理・安全管理を協力会社に行わせていた)」だったこと。 事業場に作業手順書はなく、かつ、全使用機械のRAは実施せず不安全な経験則だけだったこと。 作業開始前にKY活動を実施しなかったこと。
対策
電気トロリは荷揺れの少ない「2点水平つり型」を設置し使用すること。 コンベヤーの前後にに介添えロープを取り付けること。
操作者と玉掛けは、コンベヤー前後の介添えロープでつり荷を誘導(玉掛け者は竹などの誘導棒で側面誘導でも良い(同一ライン上の馬引きは禁止))すること。 操作者は前方を誘導する玉掛け者と同じ側面で操作すること。
テルハを使用する作業は、「協力会社のみに施工管理・安全管理を実施」させず、職長は作業内容の確認を行うこと。 テルハ作業の「作業手順書を作成」し、RAも実施し周知徹底を図ること。 作業開始前に、KY活動を実施すること。
つり荷のコンベヤーが落下し、玉掛け者の下肢に激突
原因
開口部が狭いフックに、アイ部が広いベルトスリング2本を「つり角120度」で入れたので、地切りの弛みでベルトスリングのアイがフックと外れたこと。 床面照度は75lx程度だったこと。
作業者はヘッドランプを着用していなかったこと。 地切りの時、Bはつり荷の真下に足を置いていたこと。 介添えロープを使用しなかったこと。 AはBがつり荷の側面にいることを確認しなかったこと。
コンベヤーの「交換作業は協力会社任せ(作業管理・安全管理を協力会社に行わせていた)」だったこと。 事業場に作業手順書はなく、かつ、全使用機械のRAは実施せず不安全な経験則だけだったこと。 作業開始前にKY活動を実施しなかったこと。
対策
応急的には「長さ2mのつりビーム」を使用し、ビームの上部をテルハのフックに掛けること。 恒久的には長物の運搬は荷揺れが低減できる「2点水平つり型の巻上機」を設置すること。 コンベヤーの設置場所はLED照明などで「250lx程度の照度」を確保すること。
作業者はLEDヘッドランプを着用すること。 地切りの時、玉掛け者はつり荷に介添えロープを付けて、つり荷から離れた側面でつり荷を誘導すること。 操作者は玉掛け者の安全な場所を確認しながら操作を行うこと。
テルハを使用する作業は、「協力会社のみに施工管理・安全管理を実施」させず、職長は作業内容の確認を行うこと。 テルハ作業の「作業手順書を作成」し、RAも実施し周知徹底を図ること。 作業開始前に、KY活動を実施すること。
つり荷状態で走行中に4.9tラフターが転倒
原因
不陸の多い路面上をつり荷状態でラフターを走行させたこと。 ブームは自走する時と同じ状態だったが、旋回ブレーキをロックしていなかったこと。
過負荷防止装置の設定は「最大張り出し」の状態だったこと。 職長他3人は、介添えロープを使用しなかったこと。 ベテランのラフター操作者は、若い時に操作していた「4.5tつりクボタモビルクレーン」と勘違いして、近距離ならば「つりラフターを走行」させて良いと思っていたこと。
元請け会社とF社間で「具体的な作業打合わせ」はしなかったこと。 F社に「ラフターの作業手順書」はなく、職長任せだったこと。
対策
「ラフターでつり荷走行は厳禁」とし、近距離のつり荷走行がある場合は「小型クローラCr」を使用すること。
4.9tラフターは「最大張り出し」を原則とすること。 つり荷作業では必ず「介添えロープを使用」すること。 ベテランのラフター操作者は「移動式Crの技能講習を再受講」させること。
元請け会社とF社間で「具体的作業打合わせ」を行い、リスクアセスメントを行うこと。 協力会社は事業場と共同で「小型ラフターの作業計画」を作成すること。
4.9tラフターが転倒し、運転者が投げ出されて、ラフターの下敷きになった
原因
谷側のアウトリガーを最大張り出しにしなかったこと。 谷側の路肩に敷鉄板を敷かなかったこと。
操作者Bは最長ブームの状態・作業半径が大きい状態で旋回させたこと。 Bは「過負荷防止装置の旋回危険予報が作動」したが、無視して旋回を続けたこと。 運転席にシートベルトはあったが、操作者は「シートベルトを使用」しなかったこと。
元請け会社とF社間で「具体的な作業打合わせ」はしなかったこと。 F社にラフターの「作業手順書」はなく、職長任せだったこと。
対策
ラフターの「谷側アウトリガーは、必ず最大張り出し」とすること。 谷側の路肩には「敷鉄板を敷く」。
ラフターを旋回させるときは「最短ブームで作業半径は最少」を原則とすること。 過負荷防止装置の旋回危険予報が作動したら、旋回を中止を周知すること。 操作者は「シートベルトを必ず使用」すること。
元請け会社とF社間で「具体的な作業打合わせ」を行い、リスクアセスメントを行うこと。 協力会社は事業場と共同で「小型ラフターの作業計画」を作成すること。
小型ラフターが転倒しブーム等が事務所棟の屋上に衝突
原因
農免農道の「軟弱な路肩に敷鉄板を敷かない」で小型ラフターを設置したこと。 空荷状態でブームを旋回させて、路肩の沈下状態の確認を行わなかったこと。
「農免農道の路肩が軟弱」なことをAはBに伝えなかったこと。 Aは事前に敷鉄板を手配すべきことを忘れていたこと。 Bは「地切りせず」に幹の下部と根をつり上げようとしたこと。
事業場と協力会社間で事前に「具体的作業打合わせ」はしなかったこと。 協力会社に「小型ラフターの作業手順書はなく、職長任せ」だったこと。
対策
農免農道の路肩は軟弱なので、必ず「敷鉄板(t=22mm)を敷く」こと。 空荷状態でブームを旋回させて、路肩の安定状態の確認を行うこと。
「農免農道の路肩は軟弱」であることを職長は作業者全員に伝えること。 職長は前日に敷鉄板の入場を確認すること。 クレーン操作者は「幹の根切れ」の状態の確認を行うこと。
事業場と協力会社間で、計画段階で「具体的作業打ち合わせ」を行い、リスクアセスメントを行うこと。 協力会社は事業場と共同で「小型ラフターの作業計画」を作成・関係労働者に周知すること。
クローラCrが転倒し、クレーン操作者が運転席内ではさまれた
原因
ジブの傾斜角、および作業半径から定格荷重を超える荷をつったこと。 作業開始前に、荷の質量、使用するクレーンの能力と作業半径等を考慮した作業計画を策定しなかったこと。 過負荷防止装置が適切に作動しなかったこと。 移動式クレーンの一定の合図を定めなかったこと。
クローラCrはレンタル機械であったため「クレーン操作者Bは操作に不慣れ」だったこと。 法定資格のない職長Aは移動式クレーンの一定の合図を知らなかったこと。
事業場と協力会社間で「具体的作業打合わせ」はしなかったこと。 協力会社に「クローラCrの作業手順書」はなく、クレーン能力向上教育もしていなかったこと。
対策
移動式Crは屋外作業が多いので「つり荷は定格荷重の80%以下(過荷重は厳禁)」とすること。 移動式Crの実施作業計画書を作成すること。 クレーン作業では過負荷防止装置等の安全装置は、必ず作動させること。 一定の合図を定めること。
クローラCrのレンタル機械は作業日前に搬入させ、クレーン操作者は当該機械の操作に慣れること。 クレーン合図者は法定資格者が行うこと。
クレーン作業は危険性が高いので、事業場と協力会社間で「具体的作業打ち合わせ」を必ず行うこと。 協力会社は「小型移動式クレーンの作業手順書」を作成し、クレーン能力向上教育も行うこと。
小型クローラクレーンが転倒し、玉掛け者につり荷が激突
原因
U型水路をU型水路設置側に仮置きしたこと。 クローラCrをブームの同一旋回半径で作業可能な状態に移動しなかったこと。 敷鉄板を路肩に敷かなかったこと。 介添えロープを使用しなかったこと。
Bはブームを急旋回させながらブームを伏せたこと。 玉掛け者Cはクレーンの作業半径内でつり荷待ちをしていたこと。 職長AはBに「ブームの急旋回は危険」等を何ら警告しなかったこと。
事業場と協力会社間で「具体的作業打合わせ」はしなかったこと。 協力会社に「クローラCrの作業手順書」は作成しておらず、クレーン能力向上教育もしていなかったこと。
対策
U型水路の仮置きはU型水路設置の反対側に置くこと。 クローラCrは出来るだけブームの「同一旋回で作業可能な状態」に都度移動させること。 農道の舗装道路の路肩は脆弱なので「敷鉄板を全幅」に敷くこと。 二次製品に介添えロープを取り付けて、つり荷を誘導すること。
移動式Crの「ブームを急旋回させながらブームを伏せる(ながら操作)」は禁止すること。 玉掛け者はクレーンの作業半径外で待機すること。 職長は「危険な作業方法有無を監視」すること。
クレーン作業は危険性が高いので、事業場と協力会社間で「具体的作業打ち合わせ」を必ず行うこと。 協力会社は「小型移動式クレーンの作業手順書」を作成し、クレーン能力向上教育も行うこと。
不適正なベルトスリング等の使用による災害。
原因
口が狭い(64mm)つりチェーンのフックに、ベルトスリングのアイを2本掛けたこと。 つりチェーンは多目的に使用していたので、外れ止め装置はなかったこと。 つり角度は90度以上だったこと。
玉掛け者は地切りのとき、つり荷の近くにいたこと。 玉掛け者はベルトスリングのアイ幅が広いことを知らなかったこと。 玉掛け者2人は、20年以上前の技能講習修了者で、ベルトスリングの難点を理解していなかったこと。
玉掛け作業は、元請けは関与せず協力会社のみが安全管理を実施していたこと。 作業開始前にKY活動は実施していなかったこと。 「ベルトスリング使用の作業手順書」はなかったこと。
対策
ベルトスリングは「2本2点目通し」とし、つりチェーンのフックにアイ掛けは1つとすること。 ベルトスリングと併用するつりチェーンは、外れ止め装置付きとすること。 つり角度は60度程度とすること。
玉掛け者は、つり荷に介添えロープを付け、地切りの時はつり荷から離れること。 玉掛け者はベルトスリングのアイ幅が広いことを、玉掛けの能力向上教育等で学ぶこと。
玉掛け作業は、協力会社任せにせず、5年に一度程度、「玉掛け作業の能力向上教育」を実施(講師は外部の専門家を推奨)すること。 作業開始前にKY活動を実施すること。 「ベルトスリング等の作業手順書」を作成・関係労働者に周知すること。
横つりクランプが外れて敷鉄板が玉掛け者に激突
原因
敷鉄板の縦つりに、横つりクランプを掛けたこと。 掛け幅角度が90度以上と広かったこと。 横つりクランプの「食い込みが1/2以下」だったこと。
玉掛け者Aは敷鉄板の真横で、クレーン操作者の地切りを合図していたこと。 Aは、介添えロープを使用しなかったこと。
玉掛け作業は、協力会社任せだったこと。 作業開始前にKY活動は実施しなかったこと。 敷鉄板の「玉掛けの作業手順書」はなかったこと。
対策
敷鉄板の縦つりは。縦つりクランプを使用すること。 クランプの掛け幅角度は、30度程度とすること。 縦つりクランプの「食い込みは1/2以上」とすること。
玉掛け者は、「縦つりクランプのかかり代は1/2以上」を確認して、ロック装置をかけ、クレーン操作者にOKの合図を行うこと。 介添えロープを付け、2m程度離れた場所で地切りの合図を行うこと。
玉掛け作業は、協力会社任せにしないこと。 作業開始前にKY活動を実施すること。 敷鉄板の「玉掛けの作業手順書」を作成すること。
敷鉄板のハッカーつりで、ハッカーが跳ねて玉掛け者に激突
原因
ハッカーの「かかり代が1/3程度」しか入っていなかったこと。 ハッカーのつり角度は120度と広かったこと。
玉掛け者は、ハッカーのかかり代を確認しなかったこと。 玉掛け者は敷鉄板の真横で、クレーン操作者の地切りを合図していたこと。
玉掛け作業は、元請けは関与せず協力会社のみが安全管理を行っていたこと。 作業開始前にKY活動は実施していなかったこと。 敷鉄板をつる場合の「玉掛けの作業手順書」は作成していなかったこと。
対策
「かかり代は1/2以上」差し込むこと。 ハッカーのつり角度は60度程度とすること。
玉掛け者は、「ハッカーのかかり代は1/2以上」を確認し、クレーン操作者にOKの合図を行うこと。 介添えロープを付け、2m程度離れた場所で地切りの合図を行うこと。
玉掛け作業は、「協力会社任せ」にしないこと。(元請けが積極的に安全管理に関与すること) 「作業開始前にKY活動」は実施すること。 敷鉄板をつる場合の「玉掛けの作業手順書」を作成・関係労働者に周知すること。
不適正な玉掛けwr外しで、H形鋼が落下し玉掛け者に激突
原因
玉掛けwrの引き抜きをクレーンのフックで行ったこと。 トラック荷台横に立入禁止措置をしなかったこと。
玉掛け者Bは、玉掛けwrのアイをCrのフックに掛けたこと。 玉掛け者Cは、Cr操作者Aから直視できないトラック荷台横の立入禁止内にいたこと。
玉掛け作業は、元請けは関与せず協力会社のみが安全管理を行っていたこと。 作業開始前にKY活動は実施していなかったこと。 当事業場に「トラックに積込み・積み降ろしの作業手順書」はなかったこと。
対策
玉掛けwrの引き抜きを「クレーンのフックで行うは厳禁」とすること。 トラックの「荷台真横は立入厳禁」とすること。
玉掛けwrの引き抜きを「クレーンのフックで行うは厳禁」を周知すること。 トラック荷台の横は立入禁止を周知し、玉掛け者はCr操作者から見える(直視)位置で待機すること。
玉掛け作業は協力会社任せにせず、事前に元請けが中心となりRAを実施し、RAの残留リスクはKY活動に活用させること。 「作業開始前にKY活動」は必ず行うこと。 トラック荷台への「鋼材の積込み・積降ろしの作業手順書」を作成・関係労働者に周知すること。